Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
山ノ宿の、文殊堂――もうじき、大川も近い、寂寞たるお堂で、小さいが、こんもりした木立を背負っていた。
そのお堂前に、黒く、ぽつりと佇んでいた、これも、お高祖頭巾の人影――まるで女だが雪之丞に、まぎれもない。
「お待ち遠さん」
と、さすがに、お初、女らしく、歩みちかづいた。
「いいえ、土地なれないものだから、迷って歩いて、やっと、辿りついたばかり――」
雪之丞は、お高祖頭巾の間から、星のように美しい目で、お初を迎えた。
「さあ、では、待乳山の方へ出かけましょうよ――お話の家は、たしか小舟とかいう茶屋でしょう――」
「そうそう、そういう家号でありました」
と、雪之丞は、うなずいたが、ふと、調子を変えて、
「ねえ、御寮人さん――名さえまだうかがわないが、こんなことになった以上、お互に何もかも底を割った方がよいと思うゆえ、訊くことを、はっきり答えて貰いたいけれど――」
「何でも、訊いて貰った方が、あたしの方もいいのですよ」
お初は、即座にいって、チラリと見返した。
「では、うかがうが、あの文にあった、壁に耳の――わたしの大望のと、いうのは何を言うのでありますえ?」
雪之丞は、キリリとした口調で言った。