Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
躱された敵は、退さって、じいっと、剣をあげて、次の構えに移ったと見えて、青ざめた星の光が、刀身にちらちらときらめき、遠い常夜灯のあかりに、餌食を狙う動物のように、少しばかり背かがみになった姿が、黒く、物凄く看取された。
雪之丞は、気息を整えた。
相手の荒らいだ息も静まって、死の静寂がおとずれた。
と、――見る間に、かざされた大剣がさっと走って、雪之丞の頭上に閃き落ちる。
じいんと刃金が相打って、響きを立てて、火花が散った。それなりまた、二つの姿は、少し離れて、互に隙を窺う。
暗殺者の刀は、下げられた。
懐剣をまともに突き出すようにしていた雪之丞の手先が、ぐうっと、引き上げられると、それに吸い寄せられたように、たっと土を蹴って、薙ぐと見せて、突いて来る相手――
長短の剣は、一瞬間、からみ合い、二つの黒い影は、もつれ合った。どうした羽目か、短い剣が、長い剣の持主の、腕の何処かに触れたらしく、あっと低く、呻く声がしたと思うと、黒影は咄嗟に二つに分れて、暗殺者が、傷ついた獣物の素早さで、闇に消え行く姿が見えた。
雪之丞は、懐剣をかざしたまま、追おうともせず、見送ったが、相手が余程の強敵だったと見えて、呼吸は乱れ、全身に、ねっとりと汗だ。