Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
その鉄心庵の現住――ときどき生ぐさ物の匂いがぷんぷんとかおって、貧乏徳利がいつも台どころにころがっているだけで、経を読む声さえ、通りがかりの誰もが聴いたことがないというのだから、いずれ、破戒無慚の悪僧とはわかっていたが、さりとて、それをとがめるものもないのだから、寺法格式が厳重だとはいっても、ゆるやかな時代には相違なかった。
だが、何人も、この坊主の前身を、ほんとうに気がついているものはすくなかろう――鉄心庵現住の、大坊主、これこそ、その道では名の通った、島抜けの法印という、兇悪な代ものなのだ。
十三、四のころ、さる法印の弟子となって、厳密な修業をつけさせられていたが、持って生れた根性から、色欲二道にふみはずし、搏つわ、飲むわ――博徒の仲間にはいって、人殺し兇状を重ね、とうとうほんものの泥棒渡世をかせいで、伝馬町の大牢でも顔を売り、遂に、三宅島に送られ、そこを破ってからは、杳として消息を絶していたのが、いつの間にか、鉄心庵主としておさまっている。
その素性を知っているのが、闇太郎等の、ごく僅かな連中――軽業お初といわれるほどの女さえ、この庵の秘密は知らない。