Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme

Aozora Bunko

自分が、柏餅になって、くるまっていた蒲団を、それでも、法印の寝すがたの上にふうわり掛けてやって、そこは、お手の物、殆んどかすかな軋みも立てず、立てつけの悪い木ぶすまをあけて、ぴたりと閉めた。

窖から姿を消したお初、危なかしい吊梯子を、スルスルと見事な足さばきで上ってしまうと、諸手で、うんと突ッ張って、揚げ蓋をあげて、庫裡へ出ると、そこに、ぼんやりと行灯がともし放しになっている。

――このまま、黙って逃げるのも業腹だねえ――

眺めまわすと、カラカラに、墨のかすがこびりついた硯と、ちび筆がはいっている木箱が棚に載っているのが目についた。

それを下ろして、湯沸しの水を硯にたらして、ちび筆を、うつくしい前歯で噛んだが、ふところ紙に、金釘流ながら、スラスラと書き下ろした文句――

お坊さん、左様なら、おまえさんが、島にしんぼうできなかったとおなじこと、あたくしも、あなぐら住居は、いや、いや、いや。のんびりと、手足をのばしてから、ゆっくりこのしかえしは致しますよ。とかく助平が男という男のたまにきず。  かしく。

そう紙を結んで、ポイと投げると、あの災難の晩、自分が穿いて来た、綺麗な鼻緒の駒下駄が、麗々しく、ごみだらけな床の間に飾ってあるのを持ち出して、突ッかけて、初冬の月が、どこかで淡く冷たい影を投げている荒れ庭を横切り