Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme

Aozora Bunko

自身番の前まで来ると、お尋ね者の癖に、元気のいい声で、

「かご屋さん、御苦労さま――」

足から、器用に下りながら、

「取ってお置きな」

小銭を、荒びた掌に落してやって、乾いた下駄の響きを立てて、つと、横町に曲る。これを真直ぐゆけば、三斎の角屋敷の横に出るのだ。

コロコロと、小走りに、うつむき加減にいそいでゆくと、これまで見た事のない、真新しい板塀がある。

――おや、何だろう? この家は?

足がおのずと止まると、表つきは武術道場らしい武者窓を持った建て方だ。

――なあんだ、やっとうの、稽古場か。

呟いて、行きすぎようとするときだった――三斎屋敷の方角から、一人の武家が、月光に、長い影を落してやって来たが、擦れ違いざまに――

「お、そなたは――」

お初も、足を止めて、

「おや――あなたは――」

二人は、薄い月の光で、顔を見合せた。お初も、武家も、ハッと何か、思いあたることがあったに相違ない。

「あのときは、暗がりで、はっきりお顔は見えませんでしたけれど――もしや、こないだ、山ノ宿の田圃で、危ういところを、お助け下されたお方では――」

お初が、口を切った。

相手は、うなずいて、