Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
物蔭に、窺う雪之丞、長崎屋の、血の涙のくり言を、苦い微笑で聴きながら、老師孤軒先生の、先見に、今更感動を禁じ得ぬのだ。
――何もかも、老師のおおせられた通りだ。広海屋、長崎屋、商いの道で自滅する。噛み合って共だおれになろうとのお言葉――長崎屋は、もはや、あのざま!
そのとき屋敷のうらの空地の、俄か立ての米庫の方で、わあッと起る、民衆の喊のこえ――さえぎるもののない彼等は、今や、戸前という戸前を破壊して、存分に米穀を掴み出しているに相違ない。
「あれあれ! あの、あぶれどもたちの大騒ぎ! あれを、わしに、じっと聴いていられるか――」
と、三郎兵衛は、左右の袖にすがっている手代どもを、振り切って、浜川の方へ、突ッかかるように、
「出して下され! 邪魔立てなさると、おぬしとて、許しはせぬぞ!」
ふところに、手を突ッ込んだと思うと、キラリとひらめく匕首――
「あッ、あぶない!」
と、たじろぐ浜川――
「長崎屋、気ばし狂ったか!」
「狂おうとも――気も、こころも――」
匕首をひらめかして、三郎兵衛、人々を威嚇しながら、雪之丞が身をかくしている裏庭に跳ね下り、そのまま、非常門から、暗い巷路に駆け出してしまったのだった。