Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
「放さぬとも! 放しませぬとも! さ、こうまいられ!」
引きずって行こうとした、その刹那、どう浪路の片手が動いたか、匕首の、鍔まで、心元を、ぐうッと突ッこまれた五助――
「わああ!」
と、わめいて、女を突きはなし、よろよろと、よろめいて、しばし怺えたが、急に、ガクリと膝を突いてしまった。
「う、う、う」
と、血刀を捨てた手で、胸を抱いて、
「わ、ああ! よくも――おのれ――」
どうにかして、立ち上って、飛びかかろうとするらしかったが、それが出来ない。
片手を、土に、もがき苦しんで、つづいて、ぐたりとつんのめッてしまった。
浪路は、血に染んだ懐剣をにぎりしめたまま、棒立ちに、見下ろしていた。
もはや、うめきも、ブツブツと、血が湧く音にまぎれてしまった。
闇は、血のいろを見せない。が、生ぐさい匂いが、プーンと、ただよいはじめた。
――わたしは、人を殺してしまった。
と、考えたが、悔いも起らぬ。
――けだもののような人――何という浅間しい――
当然だ――と、いう気持になっていたが、歯の根も合わず、ガチガチと、上下の顎が、打ッつかって、立っていられぬように、脚部が力を失った。