Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme

Aozora Bunko

「あいよ」

淋しい、提灯の灯火を見せて、遠のいて行くかごを見送って、闇太郎暗然として呟いた。

――おれにゃあ、どうも、あの娘ッ子は、憎めねえ気がしてならねえ、妙なめぐり合わせで、わが産みの親を、かたきと思うものとも知らず、いのちがけで惚れてしまった、あの子に、何のとががあろう――あわれな女だ。どうにかして、たった一夜でも、みょうとにしてやりてえが、それもならぬか――浮き世だなあ――

闇太郎に言わせれば、彼自身もほんの行きずりの邂逅が縁となって、こんなにまで打ち込まねばならなくなった雪之丞だ――まして浪路は、夢多き一少婦、身分も、境涯も、この恋のために忘れてしまったのも無理からぬことと思われ、そして同情の念を起さずにはいられないのであろう。

宿屋に戻って行くと、二階の雨戸が、細目に開けられていたのがピタリとしまった。

――太夫も、気がついていたらしいな。

二階へ上って、雪之丞の、白い顔と合うと、

「何ともどうも、あわれな人と逢って来たぜ」

「御面倒ばかりかけまして――」

と、雪之丞も暗くいった。

「いいや、そんなこたあどうでも――だが、どうも、こう見えておれという奴は、気が弱くっていけねえのよ。