Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
さみしい香りが、かすかにかすかに、部屋に立ちこめて来た。
人々は、黙り込んだ。
が、間もなく、闇太郎が、
「ところでと、このほとけの始末だが――」
ためいきをして、
「枕許で、すぐに言うことではないか知れぬが、このまま、土に入れてしまうわけにも、いかねえような気がするが――」
雪之丞は、闇太郎をちらりと見たが、答えなかった。
「このほとけだって、もとのままのからだなら、公方さまに、手を取られて死んだ人だ――それに、いかに何でも、三斎が鬼でも、蛇でも、親子だからな――どうしたもんだろう? なあ、太夫――」
一三
若くして、悲しく逝った、浪路にして見れば、一たん、そこから遁れて来た、松枝町の三斎屋敷になき骸を持ちかえされて、仰々しく、おごそかな葬りの式を挙げられようより、いのちを賭けた雪之丞の、やさしい手に手を握られながら、うれしく呼吸を引き取ったこの小家から、誰にも知らさず、そっと墓地へ送られてしまった方が、百倍もよろこばしいものであったには違いない。
けれども、残された人々にして見れば、それは出来なかった。第一、闇太郎には、この小家に、いかなる人物が住みついているかということを、世間の人に知られてはならなかった。