Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans

Aozora Bunko

つづいて熊太郎がはいろうとするのを、

「先生」と何んとなく不安そうに、清三郎は耳の側でいった。

「いいんですか、大丈夫ですか?」

うんというように頷いて見せ、熊太郎はズンズン歩いた。

二人の通されたは中央の建物の、ずっと奥まった部屋であった。

古びてはいるが貼り雑ぜの襖、脇床を持った床の間には、呉春の軸がかけてあり、部屋の隅に立ててある二枚折れの屏風、それには荻生徂徠の書が、落款も鮮かに記されてある。そういう部屋のたたずまいを、ノンビリした態度で見廻しながら、熊太郎は何らこだわらない様子で、悠然として坐っていた。

と、その時襖が開いて、前髪立ちの美貌の男が、高坏を捧げてはいって来た。熊太郎の前へ恭しく坐り、高坏を置いて座を辷ったが、どうやらその時片頬を歪めて、ニヤリと笑った様子であった。

その若衆が引っ込んだ後は、静かで寂しくて物音もなく、家の内陰々と凄いようであった。

(変だな)

と熊太郎は考え込んだ。

――茶の湯を学びたさに入門するという、そういう自分に高坏を捧げる。――ということも変であるが、早速に主人か、主人でなくとも、代稽古をする人間か、そうでなければ事務をとっている、その種の人間が現われて、応対しなければならないはずだのに、いつまで経っても誰も出て来ない。