Lecture japonaise

Classiques japonais avec furigana

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Lisez des classiques japonais en ligne avec furigana. Filtrez par niveau JLPT, touchez un mot pour le sens et traduisez une phrase.

ちけむりてんめいじん

血煙天明陣

国枝 史郎

Lisez 血煙天明陣 (ちけむりてんめいじん) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonais avec furigana. JLPT N2. Touchez un mot pour le sens.

N2 · avancé · kanji et kana modernes · 191 184 caractères · 379 écrans

Aozora Bunko

貴殿にご異存ござるまいな」

「…………」

「田沼殿へお渡しいたさねばならぬ、二人の女を今日まで引き止め置かれた貴殿の心底、何んとも合点いたしませぬが、その儀については貝十郎、一切不問にいたすばかりか、田沼殿へも申しますまい。ゆえに」

と貝十郎は澄んではいるが、肺腑まで徹する鋭い眼で、九十郎の顔を正視した。

「ゆえに拙者が二人の女を、連れ帰ったということを、貴殿におかれても田沼殿はじめ、一切他人へ告げ口無用! よろしゅうござるな、平戸氏!」

「…………」

九十郎は渋々ながらも、観念して頷いた。

武蔵野の一所多摩川に近く、「逃げ水の屋敷」と俗に呼ばれる、田沼主殿頭の野別荘が、全く落成して巍々たる姿を、秋空の下に現わしたのは、数日後のことであった。

その屋敷を眺めながら、六人の男女が逍遙していた。

野遊びに出た武家の家族。――といったような一団であったが、その実は松平冬次郎と、戸ヶ崎熊太郎と三人の賊、――外伝と新助と勘助と、他にもう一人織江の兄の、服部範之丞との一団であった。

秋の深い十一月、なかばになった清麗の武蔵野――落葉樹の林、芒尾花、ちょろちょろ野川、土橋小径、冬近いので鳴き弱った虫の音、そういう風物に飾られた野を、外見はまことに長閑そうに、六人のものは歩いていた。