轻松读懂日语经典作品
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页
「ふーん。そうどっか。誰どっしゃろ」
と、鼻の低い妓は感に堪えていたが、急に、あ、そや、判ったと膝をたたいて、
「――ひょっとしたら、鈴子はんどっせ」
鈴子は「文の家」から出ている十七歳の舞妓で、やがて襟がえをすれば、先斗町をうならせるだろうと言われるくらい、可愛いい顔立ちだった。派手な愛嬌はなく、どこか仮面のような冷かさがあったがしかしそれがかえって凛とした気品になっていた。かつて先斗町にからこという舞妓がいて、評判になったが、鈴子には往年のからこにはなかった清楚なういういしさがあった。
「鈴子はん……?」
君勇は驚いて、
「――なんぞ証拠おすか」
「おすもおさぬも逢坂の関や」
と、低い鼻をピクピクさせながら、
「――だいいち、鈴子はんが桔梗屋はんにはいりはるたんびに、ぼんぼん奥の間で、そわそわして、赧うなっといやす言うことどっせ」
「こりゃ聞き捨てならん」
君勇はわざと蓮ッ葉な芝居口調になったが、声はさすがに弱かった。
そして、ふと下を向いて、丁度そこへ運ばれて来たしるこをすすったが、やがて急に顔を上げると、
「――そんな浮気者とは知らなんだ。よし、向うが浮気なら、こっちも浮気……」