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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页
五
ところが、三好はにわかに落ちぶれてしまった。もともと金使いが荒かったところへ、商売の呉服物が統制にひっ掛り、だんだんひっそくして来た矢先き、大阪の空襲で店も家も商品も焼かれて、裸一貫になってしまった。何一つ残らず、残ったのは借金だけだった。
もう君勇へ旦那としての仕送りも出来ず、到頭三好の方から、別れ話を持ち出した。
さすがに君勇は、三好が気の毒だったが、別れ話にはかんたんに応じた。更に未練はなかった。
「別れるのはいやどす」
と、言って仕送りはむろん茶屋の借金も払えぬ旦那について行くには、君勇はあまりにも芸者だったのだ。
ところが、今こうして落ちぶれた三好と再会してみると君勇は美しく着飾った自分がふと恥かしく、寂しくうなだれていると、三好は、
「どや、今夜は一つおれにつき合うてくれんか」
と、もじもじしながら言った。
五
「へえ。お伴しまひょ」
と、君勇はこの落ちぶれたもとの旦那について行って、慰めてやりたかった。
しかし、桔梗家へ呼ばれている自分が、よしんば元の旦那にせよ、道で会うた男に勝手について行くことは芸者として許されていなかった。
君勇は返辞のしようもなく、