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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页

青空文庫

五

「新聞社やおへんえ、警察からどす」

「警察……?」

あわてて起ち上ると、小田は二階の洗面所の横にある電話の方へ飛んで行った。

「小田ですが……」

「あ、小田さんですか。こちらは五条署ですが、一寸おききしたいことがあるんですが……」

「小郷事件でしょう?」

「そうです。よく御存知ですね。御足労ねがえませんでしょうか」

「すぐ行きましょう」

五

小田は五条署からの電話が切れると、すぐ支度をして出掛けた。

「やア、どうも、わざわざ御足労ねがって……」

と、司法主任は小田に番茶をすすめながら、

「――実は梶鶴雄のことで、一寸おききしたいんですが……」

「はあ。小郷事件ですね。梶君に嫌疑がかかってるんですか」

「ええ、まア、有力な嫌疑者ですね」

「どういうわけで……」

「とにかく、本人が自白したんですから……」

「えッ……?」

やっぱし、そうだったかと、小田の心は改めて重くなった。

司法主任の言うのはこうだった。

京極の映画館の電話室で、小郷が殺されているのを、一番さきに見つけたのは、君勇だった。

警察では、まず君勇を取調べていろいろ事情をきいた。

すると、君勇はいきなり、

「小郷はんを殺したのは、あてどす」