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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页

青空文庫

そういう点では、鶴雄はやはり高校生らしいロマンチストであった。

素晴らしいこと――破天荒なこと――青春を賭けるような事件――ギリギリ一杯に生きられる冒険――ややもすれば人生に倦怠しようとしている鶴雄が、かねがね求めているこれらのスリルは果して東へ行けば見つかるのか、それとも西へ行けば見つかるのか。

例によって、鶴雄はサイコロを掌の上へ振った。

「偶数が出れば東だ」

しかし、またしても出たのは、

サイコロの五の目の絵

5――奇数――西だ。

鶴雄は河原町の方へ歩き出した。アンテナをつけたM・Pのジープが通ったあと、三条河原町のゴーストップの信号が青に変った。

西へ渡って、右側のそろばん屋という妙な名前の本屋へ、鶴雄は何の気なしにはいって行った。

新刊書の書棚を見て廻ったが、べつに手にとってみたい本もなかった。「改造」「中央公論」「世界」「人間」「展望」など、一流の雑誌はすぐ売り切れるのか、それとも店頭に出ないのか、見つからなかった。

「世界文学」という雑誌があったのでパラパラめくっていると、

「君は鋭いね」

という文句が眼にとまった。ジイドの「架空のインタヴュー」