轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

四顧を見廻して憮然たる様子。

「はてな? ……」

出目洞白の仮面をたずねて、ここへさまよい来た相良金吾は、夏も寒げな白木綿の旅の行衣に、お蝶の濡れたそれと同じな松のしずくに身ぶるいを覚えていました。

ゆうべ、下頭小屋で夜を明かした連中は、今朝もまだ、千魂塚の話でもちきりながら、ぞろぞろと麓の立場へ下って来ます。

その人々と別れて、一人スタスタと急ぎ足に帰って来た旅籠屋の手代は、ちょうど今、店の前から出て来た早立ちの男女の客を見かけて、

「お早いお立ちでございますな」

と、声をかける。

それに振向いたのは、ゆうべ此家に宿を取っていた関久米之丞と月江の二人でありました。

「お、宿の男か。昨夜は遅く着いて、いろいろと世話であった」

「どういたしまして、私はあれから、峠の小岩村まで用達に行きまして、ゆうべは下頭小屋で夜を明かしてまいりました。どうも、何もおかまい申しませんで」

「そちが、あの刻限の頃から用達に行くようでは、この小仏も、大した道程はないようじゃな」

「ところが、どうして、馴れておりますから夜でも歩くようなものの、ふつう、旅のお方には決して楽な山ではございません。