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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页
「今にみろ、おれかテもう一ぺんあの女を妾にしたる」
という気力は、もう三好にはなかった。
ただ、しょんぼりとうなだれて、眼だけ嫉妬に燃えながら、君勇たちのあとをつけていた。
君勇の肩は、小郷に抱かれていた。そして、鈴子の手は、小郷に握られていた。
それをうしろから見ている辛さ、君勇たちは、鴨川湯の横の空地から先斗町の路地へ戻って行った。
そして、桔梗家へはいって行ったのを見届けると、三好はなおも帰ろうとせずに、そわそわとその辺をうろついていた。
小郷は桔梗家の二階へ戻ると、
「酒だ、酒だ!」
そして、グイグイと呷ったが、酔わなかった。
ホールで妻の真紀子が望月三郎と踊っているのを見た途端にさめた酔を、取り戻そうとしても、なかなか酔が廻って来ないのだ。
「おい、おかみを呼べ!」
桔梗家のおかみ――鶴雄の母が上って行くと、
「おかみ。この子はおれが一本にする。いいだろ」
と、いきなり鈴子を指した。
鈴子ははっとした。みるみる顔色が青ざめて行った。
それをちらと眼に入れながら、おかみは、
「まア、何を言うといやす」
冗談だときき流そうとしたが、小郷は、
「金はいくらでも出す。