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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页

青空文庫

翌朝小田は眼をさますと、まず新聞に飛びついた。

「京極の殺人事件!

犯人は美貌の女掏摸か?

犯行を自白す!」

こんな見出しが出ていた。

小田は急いで記事に眼を通した。

その記事によれば、弓子は小郷を殺して、財布を奪ったということになっていた。

「こりゃおかしいぞ」

小田は警察署へかけつけて、司法主任に面会を求めた。

「弓子が自白したって本当ですか」

「ええ」

「殺してから、財布を奪ったというんですね」

「しかし、このノートには……」

と、小田はまたノートを見せて、

「――弓子はダンスホールで踊っている時、小郷から財布を掏ったとありますよ」

「なるほど、しかしこの話は、あなたが弓子自身の口からきいて、書いたのでしょう」

「そうです」

すると、司法主任はにやりと笑って、

「弓子が自分の口で語ったことが、全部本当だとは限らないでしょう」

「えっ……?」

「例えば、弓子は犯行を計画していたとしますね。とすれば、財布は殺す前に掏って置いたと思わせて置く方が、有利じゃないでしょうか」

「いや、そこまで考えて、嘘を言ったとは思えませんよ」

と、小田は強い口調で言った。

八

「しかし、とにかく弓子は自白してるんですからね。