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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页
「あたしだって、まだ若いのだ」
しかし、夜の町角に佇んで、誰かれの見境なしに、男に話し掛けて行って、円山公園の暗がりの芝生の上に転って、抱き合いながら妖しく蠢いている小娘のような、はしたない真似は、自尊心から言っても出来なかった。だから宮子はまず彼女の享楽の第一手段として、社交ダンスを習うことにした。
「姉さん、どう、ダンス習わない……?」
兄の小郷虎吉の妻で、宮子には兄よめに当る真紀子を誘うと、
「いいわね。女だってホールへ行けるんだもの踊れないと損だわ」
と、真紀子も夫の毎夜の外泊のせいか、年増ざかりの肉躰を持て余していた矢先だったから、すぐ応じた。
二人は毎日四条のもと交潤社という酒場のあった地下室のレッスン場へ通い出した。
そして、今日も二人は午すぎから家を出て来たのだが、真紀子は町で望月三郎の名を見つけると、何思ったのか急に、
「あたし、一寸用事を思い出したから、今日はあんた一人で行ってよ」
と、言って、そわそわと別れてしまった。
だから、今日は宮子一人でレッスン場へ出掛けた――その帰りだった。
一人ではつまらないので、町も歩かずに帰って来たのだが、宮子は、