轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页

青空文庫

(財布を知らぬ間に弓子に掏られていたことは、読者も知っていよう)

電話はなかなか掛らなかった。信号は呼んでいるのだが、誰もいないのか、いくら待っても、電話口へ出て来ない。

小郷はいらいらして来た。

狭い電話室の中で、神経をたかぶらせていると、小郷はだんだん息苦しくなって、目まいがしそうだった。

やっと出て来た。

女中のお雪だった。お雪は半泣きの声で、

「小郷でございます」

「わしじゃ」

「あ、旦那様ですか」

お雪は、絶え入りそうな声だった。

「いくら呼んでも電話口へ出て来ないじゃないか。莫迦ッ!」

「はい済みません」

お雪は泣いていた。

「泣かんでもよろしい!」

小郷は自分が叱って泣いたのだと思った。

「旦那様ッ!」

お雪は急にわッと泣声をあげて、

「――旦那様ッ! 坊ン坊ンが……」

「幹男が……?」

と、小郷はふと不安な予感がした。

「――幹男がどうしたんじゃ」

「おなくなりになりました」

幹男は自殺したのだった。

女中のお雪に孕ませた罪の苦悩は、この少年にはもはや堪え切れぬくらい大きかった。

「えッ! 死んだッ……?」

「はいッ!」

「泣いてちゃ判らん」

「奥さんを呼べ! 奥さんを……」