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それでもわたしはいく

それでも私は行く

織田 作之助

「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页

青空文庫

享年五十六。五条署では直ちに容疑者を留置して取調中だが、犯人は目下の所不明」

小田は読み終ると、

「やっぱし殺された。おれの予感が適中した」

と昂奮しながら、部屋の中を歩きまわっていたが、ふと、鶴雄のことを想い出して、桔梗家へ電話した。

ところが、桔梗家の女中は、

「坊ン坊ン、お留守どす」

「どこか行先きは判りませんか」

「あのウ……」

もじもじしていたが、

「――警察へ呼ばれて、行かはりました」

「えっ……? 警察へ……?」

小田は青くなった。

鶴雄が警察へ呼び出されたときいて、小田の頭にまず泛んだのは、小郷のことであった。

小郷が京極の映画館で殺されたことと、鶴雄が警察へ呼び出されたこと――両者の間には、何か密接な関係があるに違いない。

「いや、もしかしたら……」

と、小田は青くなったのだ。

「――小郷を殺したのは、鶴雄ではないだろうか」

小田は電話を切って、部屋へ戻ると、鶴雄が「罪と罰」の話をしていたことを想い出した。

「ラスコリニコフを模倣したのかな」

一方は大学生、一方は三高生……なるほどと唸っていると、女中が、

「お電話どす」

と、知らせに来た。

「どこから……? 新聞社なら原稿はまだだと断ってくれ」