轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
で、疲れた足を蒲団の中にのばしながら、その疑惑に、寝入りばなの空想を囚われておりましたが、いつか、邪気のない高鼾をかいて、ぐっすりと寝込んでしまった様子です。
と――同じように、お粂もさまざまな考えに迷ったことでしょう。
どうしてあの高麗村の次郎が、根岸の下屋敷にいるのか? また、何の急用をおびて此家へ来たのだろうか?
いや、それよりも、彼女とすれば、すでにこういう境遇に措かれて在る自分自身の現在からが、前から大きな疑問なのです。
去年の夏――
彼女の眼の先には、青い螢のようなものが明滅して見えてくる。
うまうまと秦野屋に誘い出されて、あの甲府の信玄堤の畷で、突然、相良金吾に出会った時、どういう気持か後では自分でも分らない心理ではあったが、帯の間に秘めていた魔薬を自分の顔に浴びて、死のうとしたお粂です。
彼女は、そうして自殺を果したものとのみ思っていました。……ところが、誰かに介抱されて気がついてみると、おのれの身は柳沢家の町方役所の仮牢に、牢医の手当を受けていた。
吐き気をつづけて、半日ほどは苦しみましたが、解毒を服まされて体が癒ると、猶予なく、おきまりの軍鶏籠に乗せられて、甲府表から江戸町奉行へ差立てになり、阿弥陀街道から笹子、小仏を揺られて来ました。