轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
頭を垂れて聞き入っていた一同は、黙然として頷き合いました。微風にうごく梢の陽蔭は、幾つもの顔や肩や塚のあたりを陽炎のように浮遊して、その人々の視覚をもてあそんでおります。
それから、どんな秘命が吉宗の口から出たものでしょうか、やがて、旨を含んで、「はっ」と立った一同は、黒鍬の剛兵衛を先にして、春秋百余年の秘密をつつむ血塚の地底をあばきかかりました。
まず土饅頭の上の苔石は、剛兵衛とその下役の手によって取りのぞかれ、七人の旗本と、小姓の松平源次郎は、各※(二の字点、1-2-22)、鍬と鋤とを手にして、塚の周囲から円陣になって掘りはじめる。
太陽の下、振り下ろす鍬の下には、いかなる暗も秘密もつつみ得ません。
七尺の地底――あばかれた白骨はそも何を齎すでしょうか?
* * *
夜になりました。
山里、吹上、船見山、嵐山、すべて寂とした暗の底に沈みこんで、春の星ばかりが、模糊として美しい。
ギイ……と石神堂の扉が開く。
白い顔の端が外の赤松の林をのぞきました。
お蝶です。――小石川の石神堂の穴から江戸城の秘孔を抜けて、そこに顔を出した彼女でした。