轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

ろくに体を洗いもしないで、それから伊兵衛と馬春堂が、上がり湯をザッと浴びて着物を引っかけ初めたころ。

――もう八間に灯が入って帳場格子に宵のきた筑波屋の表梯子。

そこへ、化粧道具を手拭にくるみ、少し身丈にあまる丹前は伊達巻のあだッぽい姿を見せたのは丹頂のお粂で、

「あの、番頭さん」

二、三だん、梯子を踏みかけながら、上げ鬢の止めを、ちよッと指でおさえて、

「――早くして下さいよ、急ぐんだから」

「ヘイ、只今」

勘定書であろう、帳場の番頭、パチパチパチパチ算盤の珠音を弾きながら、

「お風呂はもうお済みでしたか」

「ほかの客がいたから止めてきましたよ」

「あれ、空いていたはずでございますのに」

「いいよ、もう」

「あいにくと今夜は、護国寺のなんで、ばかに混み合いますもんですから、どうも不調法ばかり仕りまして」

「それから、駕を二挺」

「かしこまりました」

「私は、足ののろい駕屋さんは嫌いだからね」

「達者なのをそう申しておきます」

「じゃあ、すぐにだよ」

「お夕食は?」

「いらない」

トントンと白い踵を二階へ運んで、お粂の姿は裏二階の廊下の奥に吸いこまれる。

女中の手が足りないかその部屋には、まだ行燈が来ていません。