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えどさんごくし
江戸三国志
吉川 英治
「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页
そばには、月江。
下がッて小間使いのおりん。
左には関久米之丞。
以下は家の子たる高麗村郷士の者たちで、はるか末席の殿として、例の次郎がちょこなんと控えている。
すべてを入れて三、四十人、ここにズラリと居ならんだ有様、鎌倉山の星月夜とはまいりませんが、貧しい大名などは及びもない一家族で、それにこの宴には、突ッ張った裃姿がない点も一段うれしいところであります。
程なく。
それへ案内されて来る六、七人。
阿佐ヶ谷神楽の連中でございましょう。百姓芸人でも白足袋の嗜みはありますが、鎮守様のお神楽堂とは、少々勝手がちがうので、燭の明りが映えかがやく長廊下を、いかにもオズオズ、畏る畏る。
そのおしまいにくッついて来たのは、まぎれもない道中師の伊兵衛。
どうも、白足袋の似合わないこと。
こいつ、豆しぼりの手拭を、つかんでいたそうな物腰でやって来ました。
「これ、神楽師どもにも杯をやらぬか」
と、御隠家様は目通りの一同を細目にながめて御機嫌ななめならず、
「膳部、膳部」
と、世話をやかれる。
「はい」
と、おりんが立って高坏を運ぶと、末席にいた次郎も、ちょこちょこと銚子を持って神楽師たちの前にかしこまり、