轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

えどさんごくし

江戸三国志

吉川 英治

「報知新聞」報知社、1927(昭和2)年10月~終号未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 577,271 字 · 1141 页

青空文庫

ぼけをくッています。

ただひとり、ここの台所に働いていた老婆も、いつか姿が見えなくなって、団栗の木の物干しに、洗濯ものの懸ることもなくなりましたから、この分でゆくと晩秋の月夜には、女狸が子を生みに来るかも知れないほどな空屋敷なのです。

返辞のあろうはずはありません。

でも、そうとは知らないおりんは、念のためにと、半五郎をうながして、家の裏手へ、廻って見ました。

と、そこに。

あるべからざる人影が三人、真ッ赤なものを取りかこんで、じッと腕ぐみをし合っている。

真ッ赤なものとは鶏の血のような、葉とも花ともつかない植物が、そこに群生していたのです。今思えば、それは鶏頭花の種属ではないかと想像されますが、まだその時代には、葉鶏頭も花鶏頭も日本の土に輸入されてなかったはずですから、おそらくそれは誰の眼にも奇怪な植物と見るよりほかの知識しかなかったものに違いない。

「ウーム、妙な花だ」

「燃えつきそうな色だ」

そう言いながら見つめています。その植物を、その三人の男達が。

で、おりんはハッと足を止めて、後ろの半五郎を手で制しました。そして二人が、庭木の蔭に身を沈めながら、暫く、その男どもの行動を見ておりますと、いろいろ腑に落ちない点がかぞえられる。