Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
「医者を! どこからか! 医者を見つけて来なければ――」
立ちさわごうとするのを、闇太郎が、低く、沈痛に制した。
「止せ――」
「だって――」
「止せってことよ! このひとのいのちは、太夫に呼びもどすことが出来なけりゃあ、誰にだって、呼び返すことは出来ねえのだ――」
彼は、涙が頬を洗うにまかせていた。
「それに、なあ、この世ってもなあ、だれに取っても、そんなに無理に、生きのびることもねえものじゃあねえか――生き伸びたって、苦しいばかりよ――な、法印、そうじゃあねえか――」
「うむ、そう言やあ、そうだな?」
と、島抜けが、うめくように呟いて、うなずいた。
「かあいそうなお人なんだ――だから、たった今だけでも、しずかに、やすやすと眠らせて上げてえと、おらあ、思うのだよ」
そうだ――闇太郎こそ、この権門に生れて、父兄の欲望の餌となり、うわべだけの華麗さに充たされながら、煩わしく、暗く、かなしい半生を送らねばならなかった美少婦の、真実の心の悩みを知っていたのであった。
彼は、安息しようとするものの眠りを、妨げるのを恐れるように、うつむいて、じっと膝の上をみつめてしまった。