Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
Lesen Sie 雪之丞変化 (ゆきのじょうへんげ) von 三上 於菟吉 (みかみおときち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 344.083 Zeichen · 673 Bildschirme
雪之丞は、衰えゆく女の手を握り締めてやっていた――細ッそりした、やさしい手先が、だんだんに、冷えてゆくようであった。
どこかで、もう、三番鶏が、孤独そうに、時を告げていた。
一二
かぼそいからだと、細い神経で、あらゆる苦難を急激に経験し、人、一人をすら手に殺けて、今は活力を失いつくさねばならなくなった浪路は、恋人に、指先を握られたままで、最後の断末魔と戦うかのように、荒々しい息ざしを洩らすのだったが、やがて、その、呼吸すら、だんだんにしずかになってゆくのであった。
島抜けの法印は、くわしく、浪路の身の上を知らないに相違なかったが、いわば、因縁のあさからぬものがあるにはあったのだろう――なぜなら、この荒法師の、心やりがあったればこそ、たとい、最期の際にしろ、彼女は、雪之丞に、一目だけでも逢うことが出来、その抱擁の中に、いのちを落せたのだった。
だからこそ、彼の、どんぐり目からも、滝のように、荒々しい涙がたぎり落ちた。
闇太郎は、唇を噛みしめていた。うつむけた顔は、一めんに、湿れて、熱いものが、あとからあとから、きちんと並べて坐った膝の上に、ぼとりぼとりと落ちつづけた。