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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页
二
「お前はどうだ……?」
「かんにんどす……」
と、鈴子も逃げた。
弓子はじろじろホールの中を見廻していたが、何思ったか急に、
「あたしお相手しますわ」
と、小郷に言った。
「ほう……君はやれるのか。あはは……さすがだ」
小郷は弓子を連れて、ホールの真中へはいって行った。
曲はタンゴ「クンパルシータ」
小郷はいやらしく胸をくっつけながら、出来るだけ柔い感触をたのしもうという下品な踊り方をした。
弓子は辟易しながら、まるで自分がリードしているかのように、ホールの隅の方へひっ張って移って行った。
その隅の方には一組の男女がぺたりと頬をくっつけながら、踊っているのだった。
望月三郎と小郷夫人の真紀子だった。
二
弓子は、望月三郎と真紀子が踊っているのを見ても、驚かなかった。
この二人がキャバレー歌舞伎へ来ているのではないかという予感がしていたのだ。
というのは――。
昼間、真紀子が望月三郎を木屋町の小野屋に訪ねて来た時、
「あたし、この頃ダンスを習っているのよ」
「そう。じゃ今夜でも踊りに行こうか」
「ええ」
「でも、見つかったら悪いんじゃないかな」
「あたしが……? 構わないわ。