轻松读懂日语经典作品
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页
九
「どうしてまた奥さんに……?」
追い出されたんですか、だらしがないですねときくと小田は、
「家がないんで、女房の親たちと一緒に、養子みたいに暮していたんだが、おれのものの考え方がデカダンスだというんだね。デカダンスな男とは一緒に暮せないというんだ」
「デカダンスというと……?」
「頽廃のことだと、ひとは思っているらしいが、デカダンスというのは高級な思想なんだ。つまり、デカダンスというのは、あらゆる未熟な思想からの自由という意味だ。何ものにも憑かれない精神のことだよ。たとえばだね」
と、小田は新しい煙草に火をつけて、
「――林檎は実が円熟して地に落ちる時が一番うまいんだ。これがデカダンスだ。が、日本人って奴は、偏狭な道徳への思想に憑かれているから、青くても樹になったままの林檎の実が清潔で健全だというんだね。健全たア一体なんだい」
食って掛るような口調だった。
九
「健全っていけないですか」
鶴雄は問いかえした。
「いけないとは言わない。いや、健全は大いによろしい。だれでも健全でありたいもんだよ。夜の光よりは、太陽の光線に憧れるのは、こりゃ当り前だ」
と、小田は煙草の吸口を、左手でクシャクシャにもみながら、