轻松读懂日语经典作品
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それでもわたしはいく
それでも私は行く
織田 作之助
「京都日日新聞」1946(昭和21)年4月25日~7月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,708 字 · 181 页
八
「ほんとうにお酌だけでいいの……? いやなことをしなくてもいいの……?」
弓子はちょっと不安になってきいてみたが、
「大丈夫よ、そんな事ないわよ」
千枝子は木屋町松原のヤトナ倶楽部へ住込みで雇われた。
五千円のうち、二千円は衣裳代に取られ、三千円は叔父に渡した。
女学校出の美しいヤトナというので、千枝子はたちまち木屋町で評判になったが、一週間ほどたったある夜、貸席のおかみが、
「千枝子はん、今晩お泊りやすか」
「えっ?」
千枝子にはおかみの言った意味が判らなかった。
八
「――泊るって……?」
千枝子がきき返すと、貸席のおかみは、
「二階のお客さん、あんたが気に入ったさかい、世話してくれ、お言いやすのどっせ。あんたお泊りやすか、どないおしやす……?」
やんわりした口調だったが、千枝子は思わず胸がドキドキして、血の色がうすれて行くようであった。
おかみの言う意味はさすがに千枝子にも判ったのだ。
お酌だけをすればいいときいて、木屋町のヤトナ倶楽部にはいったのだが、京都のヤトナは大阪のヤトナと違い、お酌だけでは済まない――ということが、「あかし花」とか「枕金」とかいう言葉を耳にするうちに千枝子にも漸く判って来ていたのだ。