轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
04 火の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 页
「じゃあ、それでいいじゃないか。なにも、おれの後を追っかけて、試合してみるにも及ぶまい。おれがしてみせても、あの通りだ。――それ以上を見せてもいいが、見た途端に、おめえは冥途に行っていなければならねえしな」
留守をしていた女房もさる者であったが、この亭主も傲慢な天狗である。兵法と傲慢とは、どこへ行ってもつき物のように鼻につくが、それ程な自尊心もなくては、刃物と天狗の上に住んでいられない理由もある。
武蔵にしても、もうそういう梅軒を、心のすみでは呑んでいる気概が十分にある。けれど、彼には見境いのない鵜呑みは出来なかった。それは、人生への出発の第一歩に、世間には幾らも上手がいるぞという実例を、グワンと喰らわせてくれた沢庵の訓えがあるし、また、宝蔵院や小柳生城を踏んであるいた賜である。
気概と自尊心をもって、先ず相手を呑んでかかる前に武蔵は、細心な眼と、あらゆる角度から、相手の価値を計ってみる。時には臆病なほど、卑屈なほど、応対の態度には下段の構えをとっておいて、
(この人間はこのくらい)
と、見極めのついた後でなければ、滅多に、先の言葉や物腰の不遜に対して、自分の感情をみだすようなことはなかった。