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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
04 火の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 页
二
それも一理ある忠告であった。
だが、その弥五郎一刀斎の居所をさがしてみると、これも近年まで洛外の白河に、一庵をむすんでいたが、近頃はまた、修行に出たのか、杳としてその影を京大坂の附近では見かけたことがないと誰もいう。
「ええ、面倒くせえ」
又八は、匙を投げた。――そう急ぐにも当らないことをと、独り語につぶやいて。
二
眠っていた野心的な若さを、又八は、大坂へ来てからたたき起された。
ここではさかんに、人物を需要しているのだった。
伏見城では、新政策や武家制度を組んでいるが、この大坂城では、人材を糾合して、牢人軍を組織しているらしかった。もとよりそれは、公然とではないが。
「後藤又兵衛様や、真田幸村様や、明石掃部様や――また長曾我部盛親様などへも、秀頼公から、そっと、生活のお手当というものが、届いているのだそうな」
町人たちの間でも、もっぱらそういう噂をしている。――で、どこの城下よりも牢人が尊ばれ、牢人の住みよいのが、今では大坂の城下だった。
長曾我部盛親などは、町端れのつまらない小路に借家して、若いのに頭をまるめ、一夢斎と名をかえて、
(浮世のことなど、わしゃ知らんよ)