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みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
04 火の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 页
「虚無僧さん、なにが面白くて、今夜は独りで尺八をふいているのだえ? 町で、もらいが多くあって、酒でも買って来たなら、わしにもすこし、酔わせておくれぬか」
御堂の床下から、首を出してこういったお菰がある、そのいざりのお菰は、常に床下に住んでいて、自分の上で暮している丹左の生活を、王侯のように下から見て、羨ましがっている人間だった。
「お……おまえは知っているじゃろう。わしがゆうべ、ここへ連れて来ておいた女子は、どこへ行った?」
「あんな玉を、逃すなんて法があるものか。今朝、おめえが出てゆくと、大きな刀を背に負った前髪の若衆が小猿といっしょに、女子まで肩にかけて、連れて行ったわ」
「え、あの前髪が?」
「悪くない男ぶりだもの。……おめえや、おれよりは」
床下のいざりは、なにがおかしいのか、ひとりで笑っていた。
公開状
一
四条道場へ帰るとすぐ、
「おい、これを鷹部屋の止り木へ架けておけ」
門人の手へ、鷹をわたして、清十郎は草鞋を解いた。
はっきりと不機嫌な顔つきである。剃刀のように、体から刃が立っている。
門人たちは、お笠を、洗足水をと、その神経へ気をつかいながら、