轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
みやもとむさし
宮本武蔵
吉川 英治
04 火の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 页
ば、
(おやっ?)
と、動悸を打たせて、それを確かめるまでの努力と、はかない後の落胆に、さびしい顔を見あわせたことが、何十遍かわからない。
それゆえに、お通も今――城太郎がひどくがっかりしている程には、彼の話に執着を持たなかった。
殊に、跛行の侍と聞いたので、こともなげに笑ってしまい、
「それは、ご苦労様でしたね。旅の首途から機嫌わるくすると、しまいまで不機嫌がつづくというから、仲をよくして出かけましょう」
「この娘たちは?」
と、城太郎は、ぞろぞろ従いて来る巫女たちをぶしつけに見まわして、
「――何だって、一緒に来るんだろう」
「そんなことをいうものじゃありません、名残を惜しんで、五十鈴川の宇治橋まで、見送って下さるんです」
「それは、ご苦労でしたね」
お通の口真似をして、城太郎はみんなを笑わせる。
彼を加えてから、それまでは離愁につつまれて、しめッぽい顔して歩いていた巫女たちの群れも、急に華やいで、
「お通さま、お師匠さま、そっちへ曲がっては道がちがいますよ」
「いいえ」
お通は承知らしく、玉串御門のほうへ廻って、遥かな内宮正殿のほうへ向い、かしわ手を鳴らして、しばらく頭を下げていた。