轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

みやもとむさし

宮本武蔵

吉川 英治

04 火の巻

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 185,809 字 · 369 页

青空文庫

あの人は必ずそこへ来ているというのである。城太郎からお通はそれを聞いている。ただ、それは武蔵が自分を待ってくれるためでないだけがさびしいといえばさびしい。しかし、なんであろうと、武蔵に会えることだけで、自分の希望は八分も九分も遂げられるようにお通は思うのだった。

(だけど、もしやそこへ?)

ふと彼女は、また、その希望を暗くするものに襲われた。本位田又八の影である。武蔵が、元日の朝から七日のあいだ、朝な朝なそこへ来ていようというのは、本位田又八を待つためなのだ。

城太郎に訊けば、その約束は、朱実に言伝けしてあるだけで、当人の、又八の耳には、入っているかいないかわからないという。

(どうか、又八が来ないで、武蔵様だけがいてくれればよいが――)

お通は、祈らずにいられなかった。そんなことばかり考えながら、蹴上から三条口の目まぐるしい年の瀬の雑鬧へ入ってゆくと、ふとそこらに、又八が歩いていそうな気がする。武蔵も歩いていそうな気がする。彼女にとっては誰よりも怖い気のする又八の母のお杉隠居も、うしろから来はしまいかなどと思う。

なんの屈託もないのは城太郎で、久しぶりに戻って見る都会の色や騒音が、無性に彼をはしゃがせてしまい、