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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

に、かえって大島のものよりは古風なのである。

熱海来宮の七月十六日の例祭に、古来行われていた鹿島踊の記録は、かなり精密なものが『民俗芸術』三の八に報告せられている。附近の幾つかの村のも是に準拠したものか、歌の詞などは互いによく似ており、俚謡集に出ている次の安房郡のものも大同小異である。

ちはやふる神々をいさめなれば

みろく踊のめでたし

まことやら熱海の浦に

みろく御舟が着いたとよ

ともへには伊勢と春日の

中は鹿島のおん社 云々

他にもまだ色々の歌はあるが、鹿島踊というからには是が元歌であったろう。この「熱海の浦」の句を、足柄下郡の方では「真鶴みなとに云々」と歌い替えており、安房では本のままに「鹿島の浦に」と歌い上げていた。すなわち『鹿島志』などに出ている「世の中は万劫末代」という初の句を、「まことやら」という想像の語に改めたのみで、だいたいに以前の構造を保存したものが、太平洋岸の是だけ弘い区域に、ついこの頃まで残り伝わっていたのである。

伊勢と春日とを招請した、一種東国風ともいうべき三社信仰は、推理によってでもほぼその成立の年代を明らかにし得られようが、それがはたして私の謂う世直し神の、遠く海上よりこの国土を訪れたもうべしという伝承の、起原を成していたかどうかは、そう簡単にはきめられない。