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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

一二 宮古島との関係

という一書は、明治二十六年(一八九三)かに、この人が沖縄県の島々を巡歴して、還ってきてすぐに出版した紀行であるが、何かわけが有って十数年も後に、やや大量に東京の古本店に出たことがある。自分もそれを買い求めてひとたびは精読し、始めて南端の問題の奇異且つ有意義であったことに心づいた。それを読んだという人にはその後何十人というほども出逢ったが、各自の印象はまだ十分に語りかわすこともできずにいる。古見の島北岸の高地の村々のちょうどこの病のために消え去ろうとしている地帯を、人の止めるのも聴かずに、通って見たという日記の文が、ことに私の記憶には焼き付けられている。或る一つの部落では全部がすでに空屋となって、まだ倒壊してしまわずにいた。また他の村では老人が一人おって、物うげに何ともしようのない窮状を告げたともある。是と同じ事態が石垣主島の北部でも出現しまた進行し、今日はまたすでに山野に復ってしまっている。古見の旧邑なども、この時はもうすでに衰頽の極度に達し、しかもその原因を尋ねようとする者はなかったが、歴史に通じないこの旅人には、何故にここがひとたびは栄えて新たな移住者を迎え、後には止めどもなく一人ずつ減じて行くのかを、考えるまでの用意がなかったのだから是非もない。