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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

一七

ことは容易でない。私は三十二年前の沖縄旅行に、故尚順男爵の目ざましい大蒐集を見せてもらって、この近海が宝貝のあらゆる種類の産地であることを知り、始めてこの問題の大きさに心づき、近頃はまた国頭郡北端の村々におけるこの貝類の食用と捕獲法、それから今までまったく知らずにいたこの種の貝の生態とを、同地出身の崎浜信行君から教えられたほかに、さらに十何年か前に、西南諸島を巡歴してきた大森義憲氏の旅行記によって、とくに宮古島が注意すべき一つの中心地なることを感じ始めたのである。

一七

いわゆる琉球三十六島の中でも、宮古は異常に歴史の進化の歩みが激しく、しかも天災地変の圧迫が強烈であって、人は悩み且つしばしば入替り、したがって言語文物の錯雑が著しいことは、夙く私も気がついて、『島の人生』の中にも一端を説いてみたことがあったが、この島の周辺に広い地域にわたった干瀬があって、そこが貝類の最も豊富なる産地であり、今も近隣の島々に供給していることは、今度大森君の紀行によって始めて学び知った。この島の記録は無論中世以後に偏しているが、遠い昔の言い伝えには、幽かながら幾つかの奇抜なものが残っており、ことにアヤゴという多くの語りものが、女性の伝誦に保存せられていて、今もまだ採訪を可能にしている。