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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

一六

、ただ一様に影が薄く印象が淡くなって行こうとしているのは淋しいことで、それがまだ辛うじて間に合ううちに、比較の学問の燭光に照らされ出したということは、お互いにとっての責めてもの慰藉であったと思う。

一六

そこで最後に一言しておきたいことは、我々の学問には目的がある。それは決して鼠が昔話の中に、どうして入り込んで来たかというような物好きなまたどうだってもよい問題に答えることではない。永い是からの集合生活のために、今とても是非知りたく、また将来は一層必要になるであろう知識、すなわち我々群島の住民は、いつの世どの方角から、いかなる艱苦を重ねて渡って来たか。かつての同類は消えたり混同したり、どうやら跡が絶えたかと思われる中に、いかなる条件が備わって我々の島ばかり、かたまって是までの繁栄を見たのか。それと今までの歴史の進みかたとの間には、何か知っておらねばならぬ関係はないかどうか。そう明瞭には判ってこぬかもしれぬが、ともかくも努力してみたいものである。図書金石の文字の史料、地下地上の遺物遺跡が豊かに伝わる土地ならばよほど仕事は楽であろうが、島々の史学となると、当然にそればかりを当てにするわけには行かない。