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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

四

それが自分などのこの一種の貝類に、必ず古い別の名があったことを信じ、何とぞしてそれを知りたいと念じている理由である。

四

無論知っている人も多いことであろうが、外国ではこの宝貝愛用の歴史を、探り求めようとする学問は、夙く始まっている。遠い大陸の、名さえ珍らしい未開人の間からも、この貝を利用した数々の神像呪物等が蒐集せられて、国々の博物館に陳列せられ、誰がどうしてあのような奥地にまで、この貝を運び込むことになったかを怪しむばかりであるが、私はまだそれを明白に答え得た人のあることを知らない。幾つもの中心がそちこちに有って、偶然に一致を見たものと言われぬこともないが、それにしては展開の経路方向が、あまりにも互いに接近している。そうして是は考古学の領分になるが、この風習の流伝には地域により、かなり著しい年代のずれがあって、甲から乙丙へと移り進んだ形跡が、ほぼ立証し得られるのではないかと思う。もしも私たちの仮定するごとく、多量の上世遺物を出現した、いわゆる中原の古代文化地帯が、その発源地の最も重要なるものであったときまるならば、たとえ海上の跡はすでに湮滅したにしても、なおこの無数の美しい宝貝の品種を産出する南方の島々の交通を、一応は是と結びつけて考えてみなければならぬ。