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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页
二
ができなくなろうとしている。もしも将来その問題の解釈が、何としても必要という時がくるものとすると、眼に見えぬ眼前の変遷は不幸なものであり、したがってまた是ぞという纏まった意見も立たぬうちから、老人が騒ぎ出すのも少しは道理が有ると、いうことになろうと思う。
二
今日の国語教育、ことに漢字制限の方針が徹底すれば、古書の大多数は無用に近くなるにきまっているが、そういう中でも打撃の最もひどいのは、本草の学問であろう。もともと隣国においてまず進んでいる研究を、理解し応用しようというのが目的であり、しかも先方は領土が広く、物も名称も地方差が無数であり、これに対しては多くの見馴れぬ文字が使用せられて、その暗記が一応は主要なる作業になり、したがってややその分量の多きを競うの嫌いも無かったとは言えまいが、その間接の効果としては観察の意義、比較の価値、さらに進んでは物に適切なる名を附与する言語の力、記憶の楽しみまでを体得せしめて、ついに今見るような日本人を、作り上げた功績は小さくない。その記録がおおむね世に遠くなれば、改めてまた別様の方式を案出して、このかつて存し後に失われた知識の空洞を補強しなければならぬ。