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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

一四 遠島の使

一四 遠島の使

以上の二つよりも更に大切なもの、双方の言葉でイノチと呼ばるるものが、かつてはやはりニルヤからもたらされると信じられていたらしい形跡はあるのだが、是を正面から立証することはまだ私にはできない。昔話の部面では前にも挙げたように、ニラの神さまが寄木の神を誘うて、生まれ児の運と寿命を定めにくるという語りもあれば、或いはまた海幸山幸と浦島とを繋ぎ合わせたような沖永良部島の一話にも、人間に命をくれるのも位を授けるのも、ともにニラの神様だというようなことを述べている。かの仙郷で僅か三日と思っていたのが、この世に還ってみるとすでに三百年、或いは三年でありまたは三月であったというなども、すべて生命がニルヤでは豊富であり、惜しげもなく用い費やすこと、ちょうど米絹その他の財宝も同じであったという風に、類推した空想かと考えられる。数百年来の沖縄の神歌に、数限りもなく唱えられたニルヤセヂ・カナヤセヂのセヂというもの、是なども主として人間を幸福にする富貴長寿の類であったらしく、それを祭祀と祈願との力によって、国王世の主に進献せしめようとするのが、すべての公の行事の最初からの目的であった。