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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

八

それに反して単に地面に小さな穴があり、鼠がそれから出入をするというだけで、地下をニライカナイだと考えたというのは不思議である。是にはなお隠れたる別の理由、たとえば久米島の祭文にもあるごとく、鼠がテダの神の末であり、海を渡って遠くから来たという信仰があったのではないか。その点が是から諸君とともに、もう少し研究してみたい問題である。

八

この話をする私の一つの下心は、鼠にも大きな歴史があってそれが夙く忘れられ、もしくは憶い出そうとする者の無かったことは、少しばかり人間と似ているけれども、もともと彼らの生きて続いているということが痕跡であり、また大切な証拠でもあった。精確にまた懇ろに是を観察して行こうとする者には、今からでも追々と、判ってくることが多いだろう、ということを説いてみようというのであるが、さし当ってはさらに今一つ、日本とその南に連なる島々との古い関係が、何かこの方面からも少しずつ、明らかになって来そうな楽しみが談ってみたかった。獣類の多くは先祖から、人と敵対するために出て来たものではなかったが、そういう中でも鼠はかわいそうに、その蕃殖力があんまり盛んなばかりに、人に迷惑をかけて早くから、憎まれまた嫌われている。