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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

七

そのいわゆる大テダの最も美しく輝かしく、また畏こくも尊とくも仰ぎ望まれたのは、大陸でもそうだったかも知れぬが、海のとなかの島国にあっては、ことに早朝の一刻、旭の豊さかのぼりといわれた日出の前と後とであった。『おもろ草紙』の神歌を見わたしても、沖縄の島人が日の神のけ高い御姿を、花とも錦とも詠歎したのは、すべて神がまだニライカナイの国を離れたまわぬうちだけで、テダが穴などという語は吾々には俗に聴えるけれども、ちょうど昇る日の直下だけが、鮮かに光り輝いているのを見て、そこを特殊に尊くもまた慕わしい神の島と感じて、数々の幻しを積み重ねたのも自然であった。それを新たな輸入の原理が、だんだんに突き崩してきたように思われる。

七

たとえば沖縄のオボツカクラは、ちょうど本州の高天原に相当するものらしいが、あれに比べるとなお一段と茫漠としていて、ほとんと地理上の概念ともいうことができない。一方には安の川原、天の長田という類の、地名らしきものも生まれているが、こちらは山か空か、どの辺にあるのかも考えられず、そうしてまた語義も明らかでない。察するに是は半成の神学とも名づくべきもので、夙く東海岸に起こった日の神の信仰はまだ強く、文化の中心が西岸の浜に移って、対岸大陸の影響を甘受する時代になっても、なおこれを天帝系統の教理に組み替える