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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页
六
作職に障りしょんな
願ひをつと
と高く唱えて、祈願をするような慣習もあった。ウンジャガナシの名の意味はもう今日は明らかでなくなった。国頭方面では海神がウンジャミだから、事によるとその語音の残留かもしれぬ。海鼠のウンネジンとは直接の関係はなくとも、なおその系統を遠ざかってはおらぬと思う。
六
奄美大島の農民たちが、是ほどにもひどい毎年の害に苦しみながら、なお鼠に対して尊敬の意を失わず、かなしの語をつけてこれを呼ぶばかりか、一年のうちに少なくとも一日、通例は旧八月以後の甲子の日をもって、鼠のための物忌の日とし、鼠という語を口にしないのみか、もしかその姿を見れば害があると信じて、終日野原や畠へも出ずにいたというのは、何か根原によくよくの理由があって、それがもう記憶の外になりかかっているのである。かつては鼠が神山の茂みに住んで、村の生業を荒さずにおられた時代が、あったことも考えられるが、そういう平和な対立の間からは、なお是だけの畏敬の念は生まれなかったろう。ハブという毒蛇の場合にも見られるように、むしろ、稀々に意外な暴威を振うのを実験した者が、これを神秘の力に帰するようになったので、他所の飢えたる鼠の群が、海を渡って入ってくる時などに、とくにこの信仰は伸び拡がったのではないかと思う。