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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页
二
めいめいの行く先に広々とした未知の世界が有ることを知って、それでは止めようという人などは、この中には一人もおられまいと思うが、あわれや私などの物を学ぶ頃には、もう一通りの真理はすでに古人が明らかにしてくれているように思って、そこまでたどりつくことを先途とするような者ばかりが多かったのである。
二
幸いにしてこの半世紀以来、問題とか疑問とかいう言葉が、文化諸学の間にも流行して来たが、それも多くは今これから答えようとする者の用語であって、我々の切望しているような、確実なる無知無学の相続には帰着しなかったのみか、一方には根本理念などと称して、是だけはまず論争批判の外に置いて、その残りで仕事をしようとするがごとき学風が、何か新らしいもののような顔をして、こちらへも手を伸ばしかかっている。そういう証明を要しない原理、固定不動の前提が多かったばかりに、我々は苦しみ、また学問は遅々として進まなかったのである。僅かな言葉の響きや方式の新らしさに絆されて、今頃ふたたび以前と同様な拘束の世界に戻って行こうとする者はよもやもう有るまい。
今まで久しい間気がつかず、従ってまた何らの解答も得られずにあった問題は無数であろうが、そういう中でも四面海をもって囲まれて、隣と引離された生存をつづけていた島国としては、この海上生活に対する無知