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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

いずれも物の譬えとして引いたもので、それを並べて見ると面白いのだが、解釈にも疑点があり、また部落ごとの差異もあるので、ここに長々しく説くことができない。そういう中に一つだけ、意味もおおよそわかり構想も新らしく、文芸としても鑑賞に値するのは、牛馬の繁昌を祈念した神口で、それには次のような一節がある。

大野広野に出て追うば

しんからぬ万からぬで

追ひかなひまはさり

おりたびみしようり、とうり

いば路に出て追うば

昔シダマのゆんなしゆり

追ひかなひまはさり

おりたぼうらりぬ果報で

真世ん神、とうどしさり。

「ズズダマ」のキャプション付きの図

ズズダマ

私の解し得たかぎりでは、家畜の数がおびただしく、広い野原では千匹万匹と、群をなして寄せ集められ、狭い細路を追うて行けば、昔シダマを見るように、続々と繋がって集まってくる。そういう豊かな繁殖を、真世の神の恩徳に期待するという意味で、つまりは細い野路を一頭ずつ、長々と続いて行く牛の行列を、緒に貫いたシダマの珠にたとえて、楽しい空想を胸に描こうとしたものかと思われる。

「昔シダマのゆんな」とある一句が、爰では特に注意せられる。他の一つの稲の稔りを念じた章には、単に山シダマシシぬぐと、とあるに対して、是には昔の一語を添えたのは意味があるらしい。