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かいじょうのみち

海上の道

柳田 国男

まえがき「海上の道」筑摩書房<br> 1961(昭和36)年<br> 海上の道「心 第五巻第一〇号・第一一号・第一二号」酣燈社<br> 1952(昭和27)年10月~12月<br> 海神宮考「民族学研究 第一五巻第二号」日本民族学協会<br> 1950(昭和25年)11月<br> みろくの船「心 第四巻第七号」酣燈社<br> 1951(昭和26年)10月1日<br> 根の国の話「心 第八巻第九号」生成会<br> 1955(昭和30年)9月1日<br> 鼠の浄土「伝承文化 第一号」成城大学民俗学研究室<br> 1960(昭和35)年10月10日<br> 宝貝のこと「文化沖縄 第二巻第七号」沖縄文化協会<br> 1950(昭和25年)10月20日<br> 人とズズダマ「自然と文化 第三号」自然史学会<br> 1953(昭和28)年2月1日<br> 稲の産屋「新嘗の研究 第一輯」創元社<br> 1953(昭和28)年11月23日<br> 知りたいと思う事二、三「民間伝承 第一五第七号」日本民俗学会<br> 1951(昭和26年)11月5日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 页

青空文庫

に、亜細亜東南の島々の稲作種族の間にも、穀母が穀童を産み育てて行く信仰行事が、今なお到る処に持続していることを報ぜられたのを見て、この東西の一致共通には、何か偶然ならぬ起因のあるらしきことを感じている。したがって或いは幾分か意をもって迎えるような傾きが無いとも言えないが、だいたいにおいてニホまたはニフ・ニュウ等が、産屋のことであったとまでは考えて行くことができる。現在は一般にウブヤ・オブヤの語が弘く使われるけれども、近畿とその周囲の土地には、ニブ入りという語だけがまだ活きて残っている。是は主として嫁の初産を、里方に帰ってする習わしに伴のうていたようだが、その風がいつしか衰えると、母が安産の悦びにくることも、または生まれ児を見せに親元に行くことも、地を異にしてともにニブ入りと呼ばれている。方言の中にも気をつけていたら、是からまだ見つかることだろうが、山陰・山陽の畜牛地方などでは、牛が仔を産む時期に近づくことを、ニュウに入る、またはニュウにつくという例もあるという。

一方古代日本語の中には、同じ痕跡がどの程度に保存せられているか、それがその次の問題になる。