Japanische Klassiker mit Furigana
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こきょうしちじゅうねん
故郷七十年
柳田 国男
Lesen Sie 故郷七十年 (こきょうしちじゅうねん) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 257.350 Zeichen · 507 Bildschirme
祖母が引続いて世を去ったのもその介抱の疲れらしく、取集めて大きな歎きだった。
この際に一つの力であったろうと思うのは、祖父にはたった一人の妹があって、つい近い町の商家に縁づいていた。それが兄を慰め二人の娘の相談相手になって、小さな妹の方を父の世話に残し、姉を高須という姫路藩の家老の家へ奉公に出した。書いたものとては何一つ残っていないが、母の雑談のようなものを総合すると、それは安政四年、即ち西暦一八五七年のことで、そこに二年足らずいて一旦親元に帰り、それから縁に付いて辻川の松岡氏の嫁になったのが同六年のことだった。一生貧乏だったから良縁とまではいえぬか知らぬが、ともかくも二十年の間に男の子ばかり八人生んで、末の子が十三になるまで達者でいた。少なくとも四人の兄妹の中では最も仕合せがよかった。
始めから愚痴なことばかりをいうつもりだったから、これも付け加えた方がさっぱりしていてよい。関東へ出て来てから始めて知ったことは、自分の親たちと同じ年輩の老人にも、稀には種痘をした人があるということであった。私は付近のヤブ医者にひどい目にあわされているので、種痘は自分などの頃が始めのように思っていた。